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第三回〜それぞれの故郷〜

  • 2016年7月4日
  • 読了時間: 8分

第三回ないとあならいず

〜それぞれの故郷〜

(今週のコラムやろうかって話になった時、ちょうどカントリー・ロードを聴いていたので、今回のテーマは故郷になりました。)

ツ「ふるさとは…。うーん…。うーん。山です。」

昴「山(笑)」

ツ「山だからね、ほんとに、住んでるところが。山小屋みたいなもんだよ…」

昴「海の方じゃなかったっけ?」

ツ「ううん、山、山。」

昴「山かあ。あ、でも、家には行ったことないのか、私。」

ツ「うん。」

昴「いわきにしか行ったことないのか。」

ツ「そうなのよ。家来たら山だな〜って思うよ。でも、昴んちとあんま変わらないかな、周りは。なんか、平地じゃないけど。壁面に立ってるから、こういう…。」

昴「ふーん」

ツ「山を削って、こうなってるから。」(ジェスチャーで説明するツキ)

昴「あ、じゃあ、うちもそうかな。あすこ山だった、つっても、平野じゃん?」

ツ「うん」

昴「関東平野じゃん。」

ツ「そう。あの、削られて綺麗じゃん、あそこ。」

昴「そう。でも、山つっても、ほんとの山じゃないんだけど、うちは。」

ツキ「うん」

昴「でも、そうやって山を無くして作られたところなんだね。」

ツ「そうそう」

昴「じゃあ、あれかな。山にしか生えないような、ネジバナとか生えてるのかな。」

ツ「ネジバナ?聞いたこと無い。あんのかな。」

昴「なんかね、ピンクか紫か…まあ…紫?なんか、ラベンダーみたいな感じの、ぐるぐる、こう、ねじまきに生えてる花で…」

ツ「あー…言われてみればあるかもしれないけど」

昴「ほんと?」

ツ「でも、その辺に山菜が生えてるから」

昴「おーいいじゃん」

ツ「うん、その辺から取ってきて食うわ。」

昴「えー、天ぷらにしたい!」

ツ「(笑)うちの庭にタラボが成っててさ、よく採って食べてた。」

昴「たらぼってなに?」

ツ「え、たらぼの天ぷらとか食べたことない?たらの芽って言うの?こっちで」

昴「あー!たらの芽か!たらぼって言うの?」

ツ「うん、たらぼって言う。多分、方言だね。」

昴「へえー」

ツ「ふきのとうもめっちゃ成る。」

昴「いいなあ。食べたい。」

ツ「ふきのとう食べられんの?」

昴「食べれるよ。」

ツ「あそう」

昴「わたし基本的にぎんなん以外、嫌いなものないと思う。」

ツ「へえー」

昴「ぎんなんも別に、今は食わず嫌いみたいな感じだけどね。でも茶碗蒸しに入ってるぎんなんが一番苦手だから、そいつがいるとこっそり人のお皿ん中に入れちゃうけど。」

ツ「なんで?あんなに美味しいものを。」

昴「(笑)」

昴「ホームシックとかなったことある?」

ツ「ある!」

昴「ほんと?」

ツ「あるある!んとね、こっちでは無くて、帰ってくるときの電車で。あー…またひとりだよう。って、泣いたことある。」

昴「あ、地元から、こっちに出てくるときってこと?」

ツ「そうそう」

昴「へえー」

ツ「結構経ってからだよ、それも。んーと、川越に越してきてからだから…まあ、久しぶりに帰ったから寂しくなったんだな。」

昴「ふーん」

ツ「はやく、はやく川越に着いて誰かに会いたい!って思った(笑)」

昴「(笑)」

ツ「(笑)」

昴「そっか〜。へえ、意外。」

ツ「参ってたのかな、精神的に(笑)」

昴「ああ、そのときにね。」

(ベースを弾くツキ)

昴「私、今、変な感じだからな。どこに帰ればいいのか…」

ツ「茨城でしょ。お母さんいるんだから。」

昴「今はね。」

(ベースを弾くツキ)

昴「ふるさと」

ツ「うん」

昴「…って、一言でなんだろう?」

ツ「え?もう一言になってるじゃん。故郷って(笑)」

昴「あー(笑)やー(笑)そゆ、なん、自分にとっての故郷?」

ツ「うん」

昴「例えば、家族が居る場所だったり、思い出の詰まった場所だったり…」

ツ「うーん…育ったところじゃない?」

昴「うーん…」

ツ「だって、移り住んだらそこは故郷にならないじゃん。」

昴「うーん…。いやね、いま私のお父さん、沖縄に住んでるじゃない?」

ツ「うん」

昴「で、茨城に来ると、やっぱりこっちは落ち着くねって言うの。」

ツ「うん」

昴「なんか、自分の出身、高知じゃん?土佐よりも落ちつくって言うんだわぁ。」

ツ「うん。そこに住んでたからでしょ、長く。」

昴「まあ、そうだけど。だから、気持ち的には土佐よりもつくばの方が落ち着くらしいんだよね。」

ツ「うん」

昴「なんかそれ…。でも、やっぱり土佐は、故郷…とは言うじゃない?きっと。」

ツ「うん、うん。」

昴「でも気持ち的な故郷はつくばなんじゃないかなって、思ってて。」

ツ「うん」

昴「だから、その人にとっての故郷って何だろうなぁ…って、たまに思うんだよね。」

ツ「家族と長く過ごしたところかなぁ。」

昴「うーん」

ツ「誰かとっていうのは、でかいんじゃないの。」

昴「周りの環境ね…」

ツ「うん」

昴「うーん」

(ベースを弾くツキ)

昴「なんだろうなあ、ニューシネマパラダイスのさあ、すげー名言。」

ツ「ん?(笑)」

昴「あのー、あれ、あのね、トトに言うの。故郷を離れるときに…」

ツ「なに?トト?ドロシーの話?」

昴「あ、ちがう!ちがうちがうちがう!」

ツ「(笑)」

昴「主人公!あのー、ちょっと待って、私カタカナ弱いんだよな、サ、あのね、主人公サルヴァトーレって言うの。」

ツ「うん」

昴「サルヴァトーレが幼少時代、トトって呼ばれてたのね。」

ツ「うん」

昴「まあ、だから私も勝手にトトって呼んでるんだけど。で、えっとね、カタカナなの。用語。」

ツ「うん」

昴「ほにゃららに囚われるな。みたいな。そのほにゃららの言葉が…出てこない…。」

ツ「(笑)」

昴「うーんと…かっこいい言葉…」

ツ「わかんない(笑)」

昴「うーんと…思い出…みたいな…」

ツ「うん」

(ベースを弾くツキ)

昴「結局トトはさ、夢を追う為に故郷を出たの。」

ツ「うん」

昴「で、何十年も帰って来なかったの。」

ツ「うん」

昴「…やばい、その言葉が出なくてスッキリしない!意味合いとしては分かるんだよ、かっこいい言葉なんだよ。すげー中二病的な…」

ツ「うーん。」

昴「ちょ、調べていい?」

(iPadを開く昴)

ツ「なに?あ?」

昴「あ?」

ツ「あ、から始まる?」

昴「違うと思う…」

ツ「もう私、中二病的な言葉って言ったらアイデンティティとかしか出てこない。」

昴「違う違う、そんな、ねえ、アイデンティティの日本語、なんだっけ、自我同一性?」

ツ「うん」

昴「違うんだよ、そんな青年期の成長段階の話とかじゃなくて…」

ツ「うん(笑)」

昴「ちゃんとした名詞なの。あ、それも名詞か。違うんだ、なんだぁ?なんて入れれば出るんだぁ?」

(Google検索し始める昴、ベースを弾くツキ)

昴「あ、この辺この辺!ここのシチュエーションなの。うんと…。あれー?あー!でも、これも良いんだよ!名言!」

(昴)アルフレード「もうお前とは話したくない。お前の噂が聞きたい。」

昴「だからもう二度と会えなくてもいいの。この、アルフレードって言うんだけど、は、すごい仲良しなの。」(トトと。)

昴「年齢は違うけども、自分のお父さんみたいな。お父さん死んじゃってるから。」

ツキ「うん」

昴「お父さんみたいに育ててくれたような人なのね。で、その人に”もうお前とは直接話したくない”みたいなこと言われる。でも、夢を追ってるわけよ。」(トトは。)

ツキ「うん」

昴「”お前のうわさ話が聞きたいんだ。”だからもう本当に、これで最後に会ったっきりで、」(iPadの画像を見せながら説明する昴)

昴「で、アルフレードが死んだって連絡を受けて、やっと故郷に帰って来たの。」(トトが。)

ツ「うん」

昴「だからもう、これが最後なの。この2人の、が、会うのは。」

ツ「うん」

昴「ごめん、なんか…ネタバレめっちゃしてるけど、見る予定あった?」

ツ「ない。初めて聞いた。」

昴「めっちゃ良い映画なんだよ。私一番好きな映画だもん、ニューシネマパラダイス。」

ツ「へー」

昴「なのにアルフレードの名言が思い出せない(笑)」

ツ「(笑)」

昴「待ってね、なんだっけな、え…えじゃなかったかな、エモーションじゃなくて…。あ、ノスタルジー…ノスタルジーってなんだ…?あ、これだ、ノスタルジーだ!」

(昴)アルフレード「帰ってくるな。私たちを忘れろ。手紙も書くな。ノスタルジー(郷愁)に惑わされるな。すべて忘れろ。我慢できずに帰ってきても、私の家には迎えてやらない。分かったか。」

昴「ちょっと待って、10分経つんだ…」

ツ「別にいいよ10分は越えても。」

昴「なー、やだよ、私ルールは守りたいよ!だから…」

ツ「あ、もうまとめに入るのね」

昴「そう!」

ツ「(笑)」

昴「ニューシネマパラダイスはほんと、ふるさととか、そういうなんか、そうだね、考えさせてくれる映画だと思うから、私はすごく好きなの。」

ツ「うん」

昴「うん。あのねー、このねー、トトとアルフレードの別れのシーンはほんとに、ああああ!ってなる。」

ツ「(笑)」

昴「やっぱりさ、そのー、これ。ノスタルジー。だから、過去って、記憶って、勝手に塗り替えられるから、すごく綺麗になるじゃん。」

ツ「うん」

昴「それに惑わされて、そこに帰りたくなるものじゃん、人間は。」

ツ「うん」

昴「で、故郷なんて特にそういうものの元凶っていうかさ…だから、それに惑わされずに、自分のやりたいことをやれと。」

ツ「うん」

昴「だから、帰ってくるなと。」

ツ「うん」

昴「けっこうさ、ギャップとかでさ、あの頃こうだったのに、帰ってみたら実際には違うって、結構ショックじゃん。」

ツ「うん」

昴「なんか…そういうものが結構、故郷って多い…イメージが…ある…」

ツ「うん」

昴「なんだ、まとめられない(笑)」

ツ「(笑)」

ツ「つまり?」

昴「つまり…実物の故郷と、私の心の中にある故郷っていうのは、すごいかけ離れたものだなって。だから物理的な故郷は茨城に存在していても、私の故郷はきっと10年以上前の、あのつくばが故郷であって、で、いくら帰りたくても10年前には戻れないわけで…」

ツ「うん」

昴「故郷ってそういうものなイメージ。なんか、記憶の中ではあったかいのに、実際は冷たいみたいな。」

ツ「うん」

昴「…ていうイメージだなあ、私の故郷は。」

ツ「いいんじゃないの。綺麗じゃないの。まとまり方としては。」

昴「(笑)」

ツ「同意見です。」

昴「えー!軽い!」

ツ「私のねー、故郷ねー。あんまり変わってないんだよね。なんせ山だから何も(笑)何も変わってない(笑)色んな人が住んだりはするけど、なーんにも変わらないね。」

昴「ほんとー」

ツ「うん、いつ見ても草ぼーぼーだし(笑)」

昴「(笑)」

ツ「あー、まあ、あれだよ、震災とかあって、いろいろ…違うことは違うけどね。」

昴「あぁ…」

ツ「庭のたらの芽は採って食っちゃいけないし。放射能でね。」

昴「そうだよね。」

ツ「気にせず食ってるけどな、うちの家族は(笑)」

昴「それは…(笑)」

ツ「もういいんだって。俺らは後先短いんだからいいよとか言って食ってるよ(笑)」

昴「ほんとに…」

ツ「あの辺の若い子はあんまりそういうの気にしないと思う。だーいじょーぶだーって(笑)」

昴「若い人ほど気にしなきゃ駄目でしょ(笑)」

ツ「ね(笑)」

昴「生まれてくる子どもとかさ…」

(アンプからジジジジジジジって鳴り始める。)

ツ「もう、うるさいこれ!」

昴「(笑)」

ツ「いいんじゃないの、あなたの意見で。綺麗にまとまってるよ。」

昴「ほんとに…」

ツ「美しい理論だよ。」

昴「(笑)」

ツ「(笑)」

昴「是非、ニューシネマパラダイスを見て下さい。」

ツ「いいんじゃないの。」

昴「しゅーりょー。」

ツ「はい」


 
 
 

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